ヤンとカワカマスは、ひとことで言えば、遠近法が主役の作品だ。しかし遠近法といっても、その遠近の距離、つまりズームの比率というものは、想像力の世界ではそれこそ無限の性能を備えている。カメラのレンズなどは足下にも及ばない。 まず大きな構造として、ヤンの住む小屋のある丘の上(といっても、200m位の標高はある)と、カワカマスが暮らす大河が、広大な遠近で拡がっている。読者は当然ヤンの視点に立つと思われるから、あの景色、空間を全て見渡すことができる。 そして読者は、この広がりをヤンといっしょに最低2回、往復しなければならない。 さらに、ヤンとカワカマスふたりの往復の繰り返しが、リズムを産む。単調なメトロノームではあるが、素朴でミニマルな音楽として、気持ちを落ち着かせることだろう。 |
さて、もっとも効果的な、そして誰もが使う遠近法。 ヤンはこう語る。 「ボクは突然の来訪者がカワカマスであることに驚いた このときボクらは、ヤンにつられて、 もちろんカワカマスもヤンも自然の一員。 こうして、目の前のカワカマスを通り越して、 |
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さて、翌日も同じ仕掛けがある。
これはもっとささいな仕掛け。
「翌日、きのうのことはさっぱり忘れて、ぐっすり ヤンは蝶番を修理したり、真鍮のドアノブを磨いたり 来訪者よりも蝶番。これがポイントだ。 |
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