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音楽のコラージュの傑作。 聞きはじめると、私たちはもう下の写真のような虫になって、うごめいている。飛び回っている。
「笑う昆虫」 セルゲイ・アヌフリエフ&パーヴェル・ペッペルシテ (ソヴィエト現代美術展 1991 世田谷美術館)次々と貼り合わされていく音、音 …… ロックンロール、軍楽マーチ、ヴァイオリン・コンチェルト、懐メロ、ジャズのビッグバンド ……吃った詩の朗読、演説、掛け声、笑い、喘ぎ ……これは、人間の想像した昆虫の文化? それとも、虫たちの見た人間の文化?
INSECT CULTURE とHUMAN CULTURE の間を行き交ううちに、
なんだか「人間は昆虫である」というような、目くるめくも愉快な気分になってくる。どうも、ロシア人は、昔から虫たちの近くで暮らし、虫たちに一種親近感を抱いているようだ。 壁紙の裏を這うゴキブリの音、窓ガラスの間に閉じ込められたハエ、 夏の公園のここかしこに満ちる虫たちの羽音 ……
文学や映画のシーンを印象づける虫たちの描写は数えきれない。
1912年のロシアの人形アニメーション、「カメラマンの復讐」の登場人物いや登場虫はキリギリスとカブトムシ、トンボだった。そして、最近ではペレーヴィンの短篇集「虫の生活」
これは、小説の「INSECTCULTURE」、読む「インセクト・カルチャー」だ。「虫の生活」
さて、クリョーヒンと一緒に、楽しい”虫世界=人間世界”旅行をした後は、ヤンのように静かに耳を立て、あたりを満たす虫の音と、はるか遠くから聞こえてくる人の営みの音に耳を澄ましてみるのもいい。
ヴィクトル・ペレーヴィン
(群像社刊)Text by Mariko Machida 2003/8
「立った耳」
短篇集「小ネコちゃんって言ってみナ」の挿絵
(町田純 著、未知谷刊 )より