Fake Kabakov Project-1

「秋の森」より by ボリース・パステルナーク 1956

森の中は 沼沢 谷地坊主の塚 ヤマナラシ
コケ ハンノキの茂み
そうしてどこか森の湿原の向こうで
村の雄鶏たちが歌っている

一羽がひと声高く叫んでみるが
あとはまた長い沈黙
音頭をとったものの
歌いだしにどんな意味があったか思案中か

するとどこか遠くの裏通りで
べつの一羽がコケコッコーと鳴く
歩哨所の番兵のように

すると次々に雄鶏たちは
道しるべのように東と西 北と南を
鳴き声で指し示す

森は雄鶏の鳴きかはす声で
道端れへ行く道を開け
そのとき戸惑いながら
ふたたび畑野や遠い景色や空の青さを目にする


ボリース・パステルナーク/工藤正廣(訳)「晴れよう時」(未知谷)より勝手に引用、加工。
改作・怪作 by Jun Machida
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