草原の祝祭の音楽より…サヴィンスキー駅の食堂

…(ウォトカのオジイさんからもらった酢漬け)ニシンは、たいそう酸っぱかった。

 両手で抱えて、滑りそうなグラスの水を飲んでいると、それなりに歳を弾きこんださっきのヴァイオリン弾きがやってきて、サラサーテのツィゴイネルワイゼンの原曲のような、ジプシー風の曲を弾いてくれた。
 ああ、あの曲も、もとはこんなに素敵だったんだとボクは驚いた。

作曲家の醜悪な衣を取り去った素朴な旋律は、同じフレーズを永遠に繰り返しながら、がらんとした食堂にやるせない音の波を広げていった。

While I was drinking the water, holding the slippery glass carefully with both front paws, the aged violinist came to my table and played a gipsy tune - the original version of Zigeunerweisen by Pablo de Sarasate. I was amazed at how beautiful the tune had been before it became well known.
The simple melody spread its melancholy ripples across the empty cafe repeating the same refrain over and over again.


金の耳環 ( 東欧ロマの曲 ) 

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