帰郷せよ

  

  帰郷せよ、
  お前の真の故郷(ふるさと)へ。
  帰郷せよ、
  お前の一番愛する地へ。
  帰郷せよ、
  そしてそこで眠り、
  帰郷せよ!
  そしてそこで最期の時を迎えよ!

  森間の清流、岸辺の芝草に身を委ね、
  春ニレの林の小屋。
  対岸は秋ニレの林、
  ハンモックに揺られしばし夢を見ろ。

  帰郷せよ!
  野の花を小さな束にして、
  愛する人のもと、
  帰郷せよ。

  そしてそこで眠り、
  そしてそこで最期の夕を過ごせ。
  帰郷せよ。
  帰郷せよ!
  帰郷せよ!!

            2010.4.12
               自宅小屋


町田純には故郷はありませんでした。東京で生まれて、東京で育った。

 「……*防雪林の最初、北海道に捧ぐ、とあります。泣けて泣けて……
  東京に捧ぐなどと誰が書きますか。……愛するところ、愛する故郷、愛する
  土地、風土を持つ者は幸せ者。 我々はたんなる路上生活者なのです。
  住所不定、さ迷い物。永遠にさすらう者。精神的に。」
  
2010年4月25日に町田純から送信されたメールです。
   だから、ヤンに捧げた。

  *防雪林:小林多喜二の小説。岩波文庫版を病室で読んでいました。

2009年の年賀状の最後には、ロシアのアナーキスト、ロープシンの詩を引用していました。


想像力の故郷に、町田純は帰れたのでしょうか?帰っていったのでしょうか?
(by Machida Mariko)

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