「お前はお前の生を何度となくくり返した。もちろん今話したようにそっくりそのまま同じではなかった。しかし、お前は全ての物語の背後に常に存在し、ともに生きてきたのだ。『草原の祝祭』では作品中に姿すら現した。どうだ、もう潮時だろう。今この時、オレと地獄へ落ちろ。さあ始めるんだ。今がその時だ。」
「さて、オマエが死ぬ前に、オマエが長年追い求めて来た〈一瞬の刻(とき)〉とは何か、教えてやろう。
〈一瞬の刻〉とは〈永遠のかけら〉であり、希望と絶望のアマルガム(合金)なのだ。決して希望だけをとり出すことは出来ない。もはやこの両者は融合し、分離することは不可能なのだ。
だから結論はこうだ。希望と絶望に生きろ!その時永遠が見える、一瞬の永遠が、それが〈一瞬の刻〉だ」
「しかし残念ながらもう遅い。オマエは今死ぬのだからナ。」