エピローグ3
全ては、ちょうど螺旋の様に、上下から見ればほぼ同じ軌道を描いている。しかし、ま横から見ればそれは離れているのだ。螺旋を指でなぞってみろ、上は空へ向かい、下は奈落の底か?いや螺旋を上下逆さに見れば、いずれが天国でいずれが地獄かは結果的に同じことだと分かるだろう。いいか、生は上か下か、いずれにしろ終局へ向かう。それこそ真の死だ。」

お前はお前の生を何度となくくり返した。もちろん今話したようにそっくりそのまま同じではなかった。しかし、お前は全ての物語の背後に常に存在し、ともに生きてきたのだ。『草原の祝祭』では作品中に姿すら現した。どうだ、もう潮時だろう。今この時、オレと地獄へ落ちろ。さあ始めるんだ。今がその時だ。」

「さて、オマエが死ぬ前に、オマエが長年追い求めて来た〈一瞬の刻(とき)〉とは何か、教えてやろう。
〈一瞬の刻〉とは〈永遠のかけら〉であり、希望と絶望のアマルガム
(合金)なのだ。決して希望だけをとり出すことは出来ない。もはやこの両者は融合し、分離することは不可能なのだ。
だから結論はこうだ。希望と絶望に生きろ!その時永遠が見える、一瞬の永遠が、それが〈一瞬の刻〉だ」
「しかし残念ながらもう遅い。オマエは今死ぬのだからナ。」

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