エピローグ1

 ノヴィサド・フィルのブルックナー5番第1楽章中間部を聴きながら、私は思い描く。
恒星が互いに等距離を保ちながら点滅をくり返し、ただそれだけで宇宙に存在する様を。そして何千何万億光年にある星は消滅し、また新星が誕生する。

 
中ネコと小ネコが来た。
「君たちは何故人間達ともっと接しないの?」
「ボクらを含めて全ての存在は等しい距離を置いて世界に、宇宙に存在する。
ボクらの生は数年から十年、かもしれない。でも、その短い時
(刻)でも宇宙の星の寿命と大差はないんだ。存在し消滅する。一瞬でも光をはなてばそれは宇宙の輝きのひとつとなるんだ」

私が宇宙を想像しながら思ったことと彼らが語る世界観の類似に驚いた。
いや、それよりも彼らの世界観にただ心うたれた。

   
巨大なカラスのような怪鳥の像が彼ら二匹の上、はるか上空に現れる。
      
死神カラスの来訪。小屋の屋根の上に留まっている。
その上で死神のダンス。死神との対話。オマエは今この時から11年後に死ぬだろう、と。


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