ガラタ橋の上にカラスの物乞いが立っていた。ボクは硬貨を一枚あげた。
カラスは何も言わずに汚れた翼で受けとった。
次の日、カラスは5羽に増えていた。ボクは3パラしか持ち合わせがない。
1パラ硬貨が3枚。こんなときどうすればよいのか?
1羽おきにあげる。
翌日は その間の2羽にあげた。
その晩フト考え悩む。しかし、カラスの並ぶ順が入れかわっていたら……
ボクは魚の嫌いなカモメに尋ねた。
カモメは、物乞いカラスが次々とカラスのぬいぐるみ人形を片付けて、くるくると羽毛フトン
のように丸めて大きな背負い(しょい)カゴに詰めて立ち去るのを見たと言った。
本物は1羽だったのだと思って、近付いて1パラあげようとした。
するとカラスは次々と分裂し増殖した。
一番後ろの本物のカラスは、右に2羽、左に1羽と真ん中に1羽置いてから、自分は一番左に
立ったと言う。
次の日は、フツーの大きさのカラスとバカでかいカラスが立っていた。
みんなはフツーの方がより小さく貧相に見えるので、そっちに施しを与える。
ボクは大ガラスの皿に一枚入れた すると、大ガラスは「アリガタイんだがネ」と、
一言いった。
その晩ボクは、橋にズラッと並んで端から端まで埋めつくす
カラスの一列横隊の夢でウナされた。
次の日、なすのジャムを食べた。
その黒くて細長い形はカラスを連想させる。
ちょっと躊躇したけれど、食べてみるとバナナのような味がした。
カラスのようではなかった、たぶん。
カラスみたいな、でもカラスではなく茄子のジャム
小さな茄子 300g
砂糖 300g
水 200cc
レモン汁 20cc
茄子は、へたを取り皮をむいて水につけておく。
なべに水と砂糖を入れ、かき混ぜながら沸騰させる。
火を弱めて、水を切った茄子とレモン汁を加える。
シロップが濃くなって、茄子が黒っぽくなったら火を止める。
スライスしたフランスパンに、塩味の利いたフェタチーズと一緒に載せて
食べるのがオススメ。