レバノンの公演は、ビデオ上映と女優のパーフォーマンス。 思った通り、うんざり、退屈 ………… おわりは予想外、「やられたぁ」だった。 ビデオは、作者自身の声と映像の一致を探し求める。 イスラエル軍の侵攻で破壊された家の写真。叔母の声、母の声。自分の声はない。 これではやはり、自分探しの旅にすぎない。 次は、インタビューショウ。 家族について、仕事、芸術、政治、セックス……… 次々と早口にまくし立てる回答は、よーく聴いていれば(いや、字幕を追いかけていけば) けっこう面白いのだが、だんだん飽きてくる。 何かしている。この席からは見えない。《小瓶にアラク酒を入れて、栓をしていた。》前の席から笑い声。見えない。《一本9800円と書いた紙を貼っていた。》 しびれをきらした観客(サクラ?)が質問する。アラビア語で、意味不明。答えない。 これで終わりなのだと気づいた観客が、席を立ち始める。 「ああ、やられた!」 たしかに、そのとおり! アラク酒のミニボトルを前に、黙って座っている女優は、観客が話しかければ、微笑で応え、チャーミングだったし、アラク酒を飲んだ人は、もっと愉快になっただろう。(9800円払わなくてもよかったようだ。) だが・・・もう少しほかのやり方が・・・・? もやもやと考えながら、なまぬるい春の嵐の中を帰途についた。 Text by Mariko Machida 2004.2 |