以前に何回も繰り返された表現ー「イスラエルとパレスチナの暴力の応酬が止まらない。双方に自制を求める」ーをメディアは、また相も変わらずに流し続ける。
まるでイスラエルとパレスチナが対等な力関係で対立しているような表現だ。

ガザのパレスチナ人はイスラエルによって壁*で囲まれ閉じ込められ、人も物も自由に出入り出来ない。
そのガザから発射された抵抗のロケット弾がイスラエルに着弾した。イスラエルは、圧倒的な武力による
パレスチナ人の殺害でこれに報復している。

ことの始まりは、ユダヤ人入植者に暴力的に立ち退きを迫られた東エルサレムのパレスチナ住人と、ユダヤ人入植者を守るイスラエル警察との衝突だった。
そして、イスラムの重要な行事ラマダン(断食月)の最中に、聖地エルサレムのモスクに突入したイスラエル
治安部隊が300人以上のパレスチナ人を負傷させるという事件もあった。

数年ごとに繰り返されるパレスチナへの大規模な攻撃と虐殺。今回もまた既視感に捕らわれる*

そもそも、パレスチナ人の追放と虐殺を経て建国されたイスラエルは、国際法に反する占領と入植地の建設を進め、難民となったパレスチナ人の帰還権も認めていない。イスラエル領となった故郷を逃れてきた人たちが暮らす難民キャンプはガザにもある。その難民キャンプも空爆された。壁に囲まれたガザの人たちは、ガザの外に逃れることも出来ない。国連が支援する学校に子供を避難させた人もいるそうだが、過去何回も国連の学校は攻撃され多くの犠牲者を出している。

状況を発信しようとしたガザ駐在の国連の責任者は、繰り返されるパレスチナ人の苦境を語ろうとしたが、「ガザは……」と言ったきり、後の言葉を続けることができずにただ泣き崩れていた。

やりきれない。


イスラエルによる壁*については  http://yan.odessa-istanbul.net/intifadacat/intifadacat1.html
既視感に捕らえられる*ほどに繰り返されるイスラエルのパレスチナ攻撃に対して、かつて町田純が書いた"偽の詩集
"
http://yan.odessa-istanbul.net/fake/fakekabakovproject2.html

http://yan.odessa-istanbul.net/fake/fakekabakovproject8.html

http://yan.odessa-istanbul.net/fake/fakekabakovproject9.html

http://yan.odessa-istanbul.net/fake/fakekabakovproject10.html

                                 2021.5.19 text by Mariko Machida