1. ErnieA Photographer's Memoir  by Tony Mendoza 

    

第一回目、軽くいきたい。いや、重い本については、書きたくないな。

本を作るようになって、一種の本アレルギーというのか、なんというか、本を避けたい、
極端にいえば嫌悪するような感情が生まれた。自分の本が売れないから?
まあ、そういうことにしておこう。あれこれ理由を書くのも面倒臭い。

で、この短い文章の入った、アーニーというネコの写真集だが、シャレている。

作者のネコではない。キューバ出身の作者=写真家が転がり込んだ、New Yorkのロフト・メイトのネコ。
自分の飼い猫ではないことが、べたべたしない、適度な距離感を形作る。
これはとても大切なことだ。

写真家とアーニーが交互にコメントする形で、このロフト・ネコの生活、
同時に写真家のちょつとした人生も、さらっと描かれていく。

上右の写真は、ミニコミ紙の表紙写真にアーニーが使われるという寸前に、その新聞の
編集者の飼い猫写真に変更されて、怒って (その新聞を) かじっているところらしい。

出合いも、別れも、そしてエピローグもさりげない。だから洒落ているというわけだ。

これまで、ネコ写真集など買ったことはなかった。
この本も買うつもりなどなかった。シブヤのタワーレコードへ行くたびに、ついでに
パラパラとめくって、ハハハと笑って帰っていた。

ある時、なくなっていた。なんとなく寂しかった。そして、次に行くと、またあった。
結構ペストセラーなのだ。ポップに、うちの売れっ子デス、と書かれている。

結局買ってしまった。アーニーに買わされた、やられた、という感じ。
後で調べたら、amazon の方がずっと安価。またまた、やられたわけ。
でも、にくめない。ネコって、そういうもんだ。

Text by Jun Machida 2003.8

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